大腸がんだった父のACP(アドバンスケア プランニング)を考える

ちーたむ
ちーたむ

今年の4月から5月まで老老介護をしている父は大腸がんの診断を受け治療を受けた。その後予防的な化学療法(抗がん剤治療)を辞めて今に至っている。父がもし治療をしていたら?について考える。

「大腸がん」だった 過去形の理由

今年4月から5月は父が大腸がんと診断を受けて
ステージ1で「がん」を取る手術をして、
術後リンパまで転移していたことがわかって、最終ステージ3の診断だった。
大腸がんも転移してたリンパも除去したから
父の身体には「がん」がない事になる
今の父が、一応「大腸がん」だった の過去形と言えるのかな?

そして、リンパに転移してた以上、
今は他臓器に「がん」は無いけど、遠隔転移のリスクがある。
そのために補助化学療法の治療をする話があって
父は化学療法をしない選択をして、私たちは治療しない父の選択を尊重した
(過去ブログ 遠距離介護の帰省 大腸がんの今後の治療と母の介護認定更新審査のための帰省②

ACP アドバンスケアープランニングとは

アドバンスケア‐プランニング(advance care planning)
主に終末医療における、患者意思決定能力が低下した場合に備えた治療計画。患者とその家族医師看護師・介護従事者が話し合いを通じて、患者の意思を共有し、積極的な延命治療継続中止についての選択などを行う。ACP

goo 辞書 https://dictionary.goo.ne.jp/word/アドバンスケアプランニング/#jn-297321

まだ認知は少ないけど、
今はACPも終末医療だけではなく、人生会議として健康な状態から自分の命について
大切な人と話し合いをする機会を設けることが大切だとされてる。

だから、今回敢えてACPに触れさせてもらった

補助化学療法をしない決断

父は76歳
不整脈は常時あって、睡眠時無呼吸症候群もある
母が認知症になった頃から10キロ体重は落ちて
体力はもともと全然無い
よくふらつくし、
2泊3日の心臓カテーテル検査の時は、退院後体力のなさすぎで杖を使ったくらい

そんな父に、
リンパから転移するかもしれないがんに対して予防的に化学療法を行って
がんが発生する前に、叩いてしまう作戦
逆を言うと、がんのリスクはあるけど今はがんがない(見つけられてない)状態

医師は私の印象ではものすごく公平に話をしてくれたように思う
どちらのメリット・デメリットも偏ることなく教えてくれた
そう言う意味では、意思決定においてすごく安心できた

前日の出来事

父は1週間前には医師から一度説明は受けてて
化学療法は必要との話は聞いてた
そして、今回化学療法を受けるつもりで姉妹たちは動いていて
化学療法が始まったら誰が実家に帰省して母の面倒を見るか段取りするよう話を進めてた
父は父で心配で色々調べすぎて
父、「放射線治療とかどうしたら良いんだろ?」ってなってて
私「がんが無いのに放射線治療する場所無いよ」
って不安で余計なことまで調べてた
本当だったら、6月以降は頻回に実家に帰省するんじゃないかと考えていたけど
父の決断によって1ヶ月に1回の帰省に落ち着いた

前日、私と父と二人でいる時(母は寝た後)

父

抗がん剤・・・やめようと思うんだけど・・・・

ってボソッと言われた
辞める選択とかは、医師の話を聞いてからだと思ってた。
私は父の意見に尊重するって言うより賛成だった
でも、私の口から「化学療法やめたら?」なんて言えない
姉妹みんながそう思ってたと思う
だから、父の決断は良かったと思う

体力がなくて、心機能も肺機能もリスクは高い
手術の時から心機能も肺機能も引っかかってた。
認知症母の面倒を見るには
治療を受ける方がもっと悪くなって、面倒見れなくなるんじゃないかと。
そして、治療をしなければ、このままの生活は続く
大腸がんの時から無症状だった父。
治療して副作用が起きたら入退院の繰り返しになるし
母を見れるだけの身体と精神の自信がないのと
この生活を続けたいってことだった

76歳で、友人とか会社関係の方とか亡くなってるのを見て
がんが転移してるのがはっきりしていない状態で
補助的な化学療法をして見えないがんを予防するのはもう良いかなって話だった
元々父はことあるごとに延命治療はしないで欲しいって言ってた
もっと若い50代の頃は臓器提供の意思表示も家族と話してた父
最近では、父が亡くなった時に着せる服は父の会社の作業着を着せて欲しいと言ってた
(それだけ父にとって仕事は、自分で会社を立ち上げ長男に継ぐことができた生きがいなんだと思う)

医師の話がある前日にゆっくりこういった話ができて良かったって思った

でも、最終結論は、家族の立場で医師の話をちゃんと聞いて
それで決めようって話で終わった

翌日、医師からリスクとか色々話がされてた
もし化学療法をやるとしたら、
父の場合、内服の抗がん剤を数日を何クールか半年かけてやるみたいな感じだった
最初だけ入院だけど、それ以外は外来通院になるみたい
入院期間は短いけど、副作用が出た場合、入院する可能性とかの話だった
父が化学療法をしない決断をして
今後も検査も含めてフォローしてくれることや
遠隔転移した時に化学療法とか治療が必要になったらサポートしてもらえることとか確認させてもらったから安心できたんだと思う

今思うこと

父が補助化学療法をしない決断して
普通の生活に戻った
認知症母のディサービスとかショートステイとかも予定が安定して
私たちの帰省が1回/月になってる

もし、あの時化学療法を決断してたら?
これはあくまで予測だし、
実際決断した結果は、もはや今では分からない話だけど
体力面では76歳の割に丈夫じゃない父
2泊3日の入院だけでガクッと体力が落ちるから
大腸がんの手術の時はそうならないように階段の上り下りとか頑張って体力維持に努めてた
79歳の認知症母の方が逆に体力はすごくある
だから化学療法して吐き気や食欲低下とか免疫力が下がってたら
母に太刀打ちできなくなってたと思う
そして、私たちも頻回に帰省を調整したり
認知症母だけでなく、父の介護になってたかもしれない
父の仕事も辞めざるを得なかったかもしれない
そしたら父の生きがいは無くなってしまう

人生の決断は難しい
特に体が健康な時の治療の決断は自ずと「やらない」選択肢は少ないように思う
もし、母が認知症じゃなかったら確実に補助化学療法を選択してた父。
補助化学療法をしない決断
これから先の結果はわからないけど
自分の人生の選択を考えるって大事だと思う

今回、来月3ヶ月後の受診の話になって
ふと今回の父の決断について書き留めておこうと思った

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